私たちの生活には欠かせない存在になっているAmazon。
楽天市場よりは圧倒的にAmazon利用のほうが多いです。Amazonだけで十分とも感じます。
株式投資のなかで、Amazonに投資してみようと思いつつ、株価の高さを躊躇していました。
そんなときに、Amazonの本を手に取る機会があり、Amazonのビジネスモデルや経営戦略がより分かった本でした。
株式投資だけに限らず、Amazonから見て取れる未来の経営戦略に興味のある方にも良い良書です。
ビッグ5のなかでもとびぬけた成長
Amazonは、Apple、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックのビッグ5のなかでも、その成長性はとびぬけていますね。
- Apple 時価総額9,269億ドル
- Amazon 7777億ドル
- アルファベット(グーグル) 7646億ドル
- マイクロソフト 7522億ドル
- フェイスブック 4485億ドル
- トヨタ 2400億ドル
- NTTドコモ 1060億ドル
(2018年5月11日現在)
2010年以降の株価ですが、Amazon上がりっぷりが半端ないですね。
楽天とAmazonのビジネスモデルの違い
インターネット通販といえば、楽天市場とAmazonですが、両者のビジネスモデルは全然違いますね。
楽天市場は仮想商店街。
つまり、出展企業からの手数料を中心に稼いでおり、お客さんは企業だ。
一方、Amazonの中心はあくまでも、Amazon自身が仕入れた商品の販売がメインです。
アマゾンのお客さんは、そのままアマゾンで物を買う消費者である。
楽天のビジネスモデルは、あくまで場所貸しビジネスですが、アマゾンは自社で仕入れて商品を販売するので、物流施設への投資に莫大なお金をつぎ込んでいますし、それがサービスの向上につながっていますね。
先日、午前中にAmazonで注文したら夕方には商品が届いて、あまりの配送スピードに驚きましたもの。
楽天の株価はまったく冴えませんが、アマゾンは上昇の一途をたどります。両者の戦略の違いは、大きな答えが出ているように思います。
売り上げが出る前にキャッシュの回収が終わっている
アマゾンの決算説明資料を見ると、かならずキャッシュフロー計算書から言及されています。
財務諸表は、
- 損益計算書
- 貸借対照表
- キャッシュフロー計算書
から構成されますが、日本の決算説明資料の場合、キャッシュフロー計算書を書いている例も少ないですね。
ほとんどが「損益計算書」の説明に収支されています。
ベゾスが重視し、アマゾンの成長を支えるのが、キャッシュフロー経営だ。
アマゾンは年によっては赤字になることもありますが、本業が生み出す現金がいくらなのかが分かる営業キャッシュフローはずっとプラスで推移しています。
アマゾンは、商品が発売される30日前にすでにお金が手元に入っている
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)とは、仕入れた商品を販売し、何日で現金化されるかを示した指標です。
CCCが小さいほど現金回収のサイクルが短いので、手元にキャッシュを長い時間持つことができます。日本電産なども重要視している指標ですね。
公理世界最大のウォルマートは、CCC12日だそうです。商品を仕入れして、販売して、代金を回収するのに12日なので、この12日の運転資金は常に確保しておく必要があります。
12日でも短いですが。ウォルマートほど巨大になると、その負担は軽くはないですね。
アマゾンのCCCは△28.5日なので、商品が販売される約30日前には現金が入ってる状態です。脅威です。
このため、巨額の投資を次々と続けることができるんですね。
CCCがマイナスなのは、
- 「マーケットプレイス」(アマゾン以外でも出品できる仕組み)があること。マーケットプレイスの売り上げは、いったんアマゾンに入り、手数料を引いて出品者に返している。
- ちなみに、楽天はこの仕組みはやっていない。
売上からアマゾンの手数料を引いた「預り金」を出品者に支払うまでの期間はアマゾンにとって無利子で運用可能な資金
アマゾンで一番利益を上げているAWS
成長率が半端ないですね。
アマゾンで最も利益を上げているのは、Amazonでの売上ではなく、アマゾンウェブサービス(AWS)というクラウドサービスを提供する事業です。
このクラウドサービスは、世界ナンバーワンなのです。
顧客には米中央情報局(CIA)などがあり、日本では日立製作所、キヤノン、三菱UFJ銀行、ファーストリテイリングなどが利用しています。
自社でサーバーを保守、維持管理する費用よりもAWSに切り替えることで、コスト削減にもなるんですね。
- アマゾンの営業利益 41億ドル
- AWSの営業利益 43億ドル
- 2017年12月期
アマゾン全体の営業利益よりも多い営業利益をAWS事業で稼ぎ出しているので、まさにドル箱です。
このクラウドサービスは、アマゾンが世界トップですが、AWSを使う企業や個人が増えれば増えるほど、さらにAWSのサービス向上への投資ができ、使い続けるというわけです。
- クラウド業界のシェア
- AWS 35%
- マイクロソフト 13%
- グーグル 6%
- その他 38%
ウォルマートはAWSを使わないようにと、取引先にも言っているようで、その受け皿になっているのがマイクロソフト。
クラウドサービスは、アマゾンもマイクロソフトにとってもドル箱で安定した高収益源ですね。
米の4人に1人が利用する「Amazonプライム」
Amazonプライムを利用すると、もう手放せません。それだけ便利なサービスです。
- 米国の人口 約3億2,000万人
- Amazonプライム会員数(米) 約8,500万人
なんとアメリカの4人に1人の割合でプライう会員というのは脅威そのものですね。
アメリカの世帯数は1億2,500万、世帯数の約68%はプライム会員という計算になるので、Amazonなくなるともうアメリカ人は生活が成り立たなくなりますね。
年会費なので、1年前には手元にお金が入ってくる最高の仕組みというわけです。
会員制スーパーのコストコなども同じですね。コストコがプライムより先ですが。
- プライム会員の会費
- アメリカ 119ドル(約1万2,000円)
- イギリス 79ポンド(約1万4,000円)
- ドイツ 49ユーロ(約6,500円)
- 日本 3,900円(1か月400円の月会員も可能)
日本は破格の安さですね。プライム会員数は300~600万人と言われているようですが、まだまだ伸ばして行きたいと考えているのが価格からも読み取れますね。
プライム会員の売り上げは、アメリカで68%もあるようですが、値上げをしまくっているようですね。
スタート時 39ドル
↓
2014年 99ドル
↓
2018年 119ドル
日本ももっと普及すれば、いずれ価格を上げてくるんでしょうね。
でも、プライム会員を解約・・とはならないでしょうね。
もはや巨大な物流業者
米国の物流大手は、フェデックスとUPS。日本のクロネコヤマトと佐川急便のような存在。
毎年、5,000億円規模の投資をしているようですが、Amazonも物流事業に5,000億円規模の投資をしています。
もはや物流会社。
商品輸送用のトレーラーは4000台以上保有し、空輸のための航空機も自社で保有しているようです。
AmazonプライムやAmazonナウを通じた当日配送を実現した物流網があるからこそ、商品網の拡大、豊富な品揃えにつながっているんだそうですね。
Amazonホント便利。もう最高です。
アマゾンは、自前の空輸、海運手段を用意し、蓄積した買い物データをもとに、最適な商品をおすすめする。「今日買って、明日届く」物流は、アマゾンにとっての最大のサービスであり、他社が持てない武器だ。
Amazonのすごさが分かる
たまたま書店で見つけた「世界最先端の戦略がわかる」Amazon。
元マイクロソフト社長の方が書かれた著書ですが、あまりの面白さに一気に読み終えました。
Amazonはこれからも私たちの生活を変えてくれる存在だと思います。
無人コンビニのAmazonGOもいずれ日本に来るでしょう。
Amazonへの投資を考えさせる本でした。
もうAmazonを使わない、Amazon株を保有しないという選択肢はないんじゃないか。
そう思っちゃいます。
ボーナス入ったらつぎ込みたい。
是非一読を。
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