MVNO事業やモバイルWi-Fiなどを展開するベネフィットジャパン(3934)という会社の勢いが凄く株価も急上昇しているので気になってみたので、財務諸表を読んでみました。
2016年3月に新規上場したばかりの若い会社ですね。
通信事業は、今後も成長産業だと思います。Wi-Fi事業は政府も力を入れているので、注目している分野なので、いくつかの企業を投資候補としてピックアップしています。
その一つがベネフィットジャパンなわけですが、2020年3月期の第一四半期の決算がぶっ飛んだものだったので(業績大幅アップ!)、株価は爆上げしました。
ベネフィットJ<3934>はストップ高比例配分となった前日に続き大幅続伸。
上昇率トップとなっている。引き続き13日に発表した第1四半期決算が好感される展開になっている。
営業利益は3億円で前年同期比67.3%の大幅増益、上半期計画4.5億円、同7.6%増に対する進捗率は66%に達している。
第1四半期は四半期単位で会員純増数が過去最高となり、今後もストック収入の順調な拡大基調などが想定される形となっている。 引用-株たん-
私は投資する際には、必ず営業キャッシュフローを見るようにしています。
営業キャッシュフローは、会社が利益を得るために本業で稼いだキャッシュを示す指標。現金を創出する力を見ることができます。
金融機関やリース業界など一部を除けば、営業キャッシュフローが赤字の会社や、損益計算書の利益と営業キャッシュフローの数値が大きく乖離する企業は注意が必要といわれています。
ベネフィットジャパンの株価が急騰
小型株は、業績に素直に株価が反応するので、保有しておくと高いリターンが期待できますね(その反面、逆もありますが。つまりハイリスクハイリターン)。
通信事業のMVNOへ経営資源を集中した結果、売上高が急上昇しています。
2020年3月期第一四半期の営業利益は3億円で前年同期比67.3%の大幅増益、上半期計画4.5億円、同7.6%増に対する進捗率は66%にもなっていますので、ものすごい伸びです。
営業キャッシュフローから見ておこう
20年3月期の第一四半期決算短信では、キャッシュフロー計算書がついていませんでしたので、過去の有価証券報告書を見に行きました。
営業キャッシュフロー・マージンはマイナス!
私は、営業キャッシュフロー・マージンは重要指標としています。
営業キャッシュフローを売上高で割ったものですが、現金を創出する力を見ることができます。15%以上あればかなり強いキャッシュ創出力があると言えます。
上場したのが16年3月ですが、それ以降は、
営業キャッシュフローはマイナス
で推移しています。
余談ですが、RIZAPの営業利益は黒字だったんですが、実は営業キャッシュフローがマイナスであり、会社はしんどかったという報道が昨年ありました。その時の分析記事はこちら。
株価も暴落した経緯があります。
また、航空会社スカイマークは、売上850億円もある企業だったのに、わずか18億円で上場廃止に至っています。
このときは、営業キャッシュフローがマイナスではなかったものの、どんどん下がっており、また、投資キャッシュフローはどんどん増えていたので、
資金繰りに窮して倒産
したわけです。
いかに、営業利益が高くても、キャッシュを稼ぐ力を見る営業利益キャッシュフローを軽視してはいけないというのが過去の教訓です(ちなみに、RIZAPもスカイマークも投資していません)。
キャッシュフローは、大幅赤字
キャッシュフロー計算書をグラフにしたものです。
青色の営業キャッシュフローが大きくマイナス、フリーキャッシュフロー(黄色折れ線)は大きくマイナスで推移していますね。
グラフの年次がおかしいですが、左から14年3月期から19年3月期までの推移です。
ベネフィットジャパンは、税金等調整前当期純利益
- 18年3月期 739,235百万円
- 19年3月期 843,303百万円
と大きく黒字なんですが、営業キャッシュフローは、逆に大きくマイナスとなっています。
嫌な香りがするのは私だけ?
営業キャッシュフローはなぜマイナス?
営業キャッシュフローがなぜマイナスなのか見ておくと、
「売上債権の増加額」が大きくマイナスとなっています。
これの意味するところは、
損益計算書で利益はプラスだけど、
売上代金の未回収が多い
状態と言えます。
売上増えても、利益が出ても、現金が入ってきていない状態・・・。
ベネフィットジャパンの販売は、割賦販売という手法なので、売れば売るほど売掛金が増えるというビジネスモデルです。
そのため致し方ないことかもしれません。
売上債権回転率を見よう
後ほど紹介するキャッシュフロー計算書の解説本を読んでタイムリーだったので、気になって分析してみました。
売上債権の滞留具合を見るのに、売上高と売上債権を相対比較する、売上債権回転率を見ることが大事です。
売上債権の回収がどれだけ効率よく行われているか?を見る指標です。
売上債権回転率は、きれいに右肩下がりですね。
回転率は、6回転が理想、3回転未満だと危険水域とも言われます。
6回転だと2か月一回はキャッシュインがあるわけですが、3回転だと4か月に一回しかありません。
ベネフィットジャパンは、1回転台ですので、くらくらするレベル
売上債権回転期間は、短い方が当然いいわけですが、ベネフィットジャパンは、
- 17年3月期 136日
- 18年3月期 206日
- 19年3月期 250日
どんどん伸びており、売上の債権をいつ回収しているのかと不安になるくらい伸びています。
ベネフィットジャパンの現金推移
12億円の当座借越契約はあるみたいなので、資金ショートリスクは低いかもしれませんが、
現金はえぐいくらいにどんどん減っています。
決算 | 現金・現金等価物(百万円) |
14年3月期 | 1,068 |
15年3月期 | 1,289 |
16年3月期 | 1,518 |
17年3月期 | 1,125 |
18年3月期 | 496 |
19年3月期 | 358 |
現金回収が早まれば、営業キャッシュフローもプラス転換しそうですが、
それまでは、
触らぬ神に祟りなしかな~どうでしょう
売上から現金回収までが遠すぎるので、私的には投資対象外です。
自己資本比率は高いので、倒産リスクは低いと思いますが、
- 18年3月 69.9%
- 19年3月 64.8%
- 19年4-6月期 61.7%
となっています。自己資本比率も低下傾向です(高い水準ですが)。
ベネフィットジャパンは、業績急上昇で、株価も上がっていて、良さげ!と思ったんですが、キャッシュインが遅すぎるようにも思います。
しかも、配当金を3期連続で出しているんですが、配当金を出している場合じゃないと思うんですが・・・・。
割賦販売というビジネスモデルですので、キャッシュインが遅れるのは致し方ないことです。売れば売るほど、売掛金が増えます。
踏み倒されるかどうかが焦点ですが、そのリスクは私には分かりかねるので、問題ないと思えば投資対象と言えるかもしれません。
キャッシュインが早くなってくれれば、逆にいえば、良いビジネスをしていると言えますね。
営業キャッシュフローを見よう
ということで、まとめおくと、
- 営業キャッシュフローがマイナスの会社は注意
- 税前利益と営業キャッシュフローの乖離が大きい会社は注意
- 売上債権回転率(売上高÷売上債権)が3未満は投資対象から外す
を守っておくことは大事かなと思います。
売上債権回転率とか、イチイチ計算してられんわという方は、楽天証券を今すぐ口座を開設しておきましょう。
指標で出してくれるので、一時チェックとしては十分ですよ。スマホアプリでも見れます。
私は10以上の証券会社の口座を保有していますが、ここまで詳細に指標を出してくれるのは、楽天証券だけです。
口座を持っておくと便利ですね。
キャッシュフロー計算書を分かりやすく解説してくれるのはこちらの本。
1000円もかからずで、有益な知識が入ります。
1時間で読めるので必ず読んでおきましょう。持っていない方は今すぐ手元に!
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