マーケティングとはなんぞや?
営業から管理部門にうつり、マーケティングについて勉強をしています。
マーケティングとは、お客様に価値を提供し、対価を頂くこと。
マーケティングの本を読んでいたら、そんな言葉に出会いました。
マーケティングというと、なんだか難しいことのように思いますが、普段、私たちの生活にとっても密着していることだと思います。
身の回りから、身に着けることができるんですよね。
昨日、Amazonで本を買ったんですけど、
「なぜ書店ではなくAmazonで買ったのか」
↓
「本屋に行く時間がなかったんだよな。本のタイトルも中身もある程度わかっているし、Amazonが便利なんだよね。」
↓
「本のタイトルも中身も分からなかったらAmazonでは買わないな。本の中身をパラパラ見てから買うと安心できるし。」
↓
「そういえば、Amazonのkindleを利用すると、ほんの一部を読むことができるんだよな。無料で」
本屋がAmazonに勝つにはどうしたらいいんだろ?そんなこと買い手である私たちの心の動きを分析していくのが、マーケティングでもあるんですね。
繰り返しになりますが、マーケティングの本質は『お客様に価値を提供して対価をいただくこと。』
この考えを身に着けておくと、仕事でもそのほかでも大いに役立ちそうですね。
東京ディズニーリゾート(TDR)という具体例を見ながら、マーケティングを学んでいきたいと思います。
東京ディズニーリゾートに学ぶマーケティング
先日、東京ディズニーランドに行ってきたのですが、『価値を提供して対価をいただく』ことを高いレベルで実現している場所だと改めて思いました。
ここ、バケモノかよ・・・っていうくらいすごいところですね。
マーケティングで知っておくべきたった4つの理論
マーケティングの基本となるのが、4つの理論。
まずは、学ぶべきには、基本を抑えようと思います。
よく言うじゃないですか。
何事も基本が大事だって。
ベネフィット、ターゲット、差別化、4P(製品・サービス、広告・販促、流通・チャネル、価格)が徹底されていることで、モノやサービスは売れるんです。
それでは一つずつ見ていきましょう。
ベネフィット「顧客にとっての価値」
モノを売る側は「売ることが目的」ですが、買う側の私たちは「買うことが目的」ではありませんね。
そのモノやサービスを買うことによって、得られる目的を果たすために買うわけです。
それを提供するのが、ベネフィット。お客様にとっての価値です。
そのベネフィットは、2つに分かれます。
「機能的ベネフィット」は、物理的なもので、例えば、腕時計であれば「時間が分かる」「見やすい盤面」などですね。
一方、「情緒的ベネフィット」では、デザイン、憧れなど腕時計で例にすると、腕時計本来の価値とは関係のない価値のこと。『スーツに合う時計、達成感、高級時計を持つ自分がかっこいい』、などですね。
東京ディズニーリゾート(TDR)のベネフィットは?
TDRが届けてくれるベネフィットは、「機能的ベネフィット」より『情緒的ベネフィット』を提供してくれています。
そう!!
「夢のような楽しい時間」を私たちに届けてくれているんです。
「楽しい時間」「家族や友人との楽しい思い出作り」などといったベネフィットを提供してくれているわけです。
入った瞬間のあの高揚感、笑顔で迎えてくれるスタッフの対応の高さ、ゴミ一つ落ちていない清潔感あふれたテーマパーク、計算され尽くしたイベント、私たちお客さんをどこでも楽しめてくれる仕掛けがふんだんにありますね。
その一つ一つが『夢のような楽しい時間』を届けてくれるためにあります。
我が家も家族で行きましたが、楽しい時間を家族で共有できること、また、思い出を作ってくれる、鮮明な記憶として残してくれる場所ですね。
4つの理論の一つ目、「ベネフィット」。
お客様にどんな価値を提供できるのか?まずは、これを徹底的に考えることが大切ですね。
セグメンテーションとターゲティング
ベネフィットを考えていくにも、人によってベネフィットは変わってきますね。
それを分けて考えていく必要があるんです。
●お客さんを分けることを「セグメンテーション」
●分けられたお客さんのグループに狙いをつけて売ることを「ターゲティング」
これをしないと売れるモノも売れない。
要は、狙いをつけるグルーピングをすること。
狙うことは、「絞ること」なんです。
東京ディズニーリゾートのターゲットは?
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドのIR資料「ファクトブック2016」によると、
●年間約3,000万人の来園者
●来園者の7割が女性
●18歳から39歳の人が約5割、17歳未満の人が約3割、若い人が全体の8割
ものすごい集客力です。そして、来園者のデータから推測すると、家族連れや友達同士で来る人が圧倒的なんですね。
これだけ女性客、家族連れが多い東京ディズニーリゾート(TDR)が新しいアトラクションを作るとしたときに、果たして、
50代のおっさんにベネフィットを届けようとするだろうか?
答えは、否!!
ですね。
圧倒的に、女性、家族連れで来る女性や友人同士で来る女性をターゲットに、そのひとたちがいかに「夢のような時間を過ごしてもらえるか」「楽しんでもらえるか」「また、TDRに来たいと思ってもらえるか」を考え、ベネフィットを届けるわけです。
家族で楽しい時間を過ごすことで、最高の思い出を作るという価値を提供してくれるわけですね。
4つの理論の二つ目、「セグメンテーションとターゲティング」。
狙うためには、顧客を分ける。
ベネフィットの届け先を絞っていくことが大事ですね。
差別化
この商品でなければならない理由を作る。これが『差別化』。
もし競合がいなければ、顧客にとっての選択肢はあなたの商品しかないので、差別化する必要はない。
でも、現実的には競合のない商品ってほぼないですよね。そのため、『差別化」が必要になってきます。
繰り返しになりますが、私たちは「自分の目的や欲求」を満たすために、モノやサービスにお金を払うわけです。
吉野家をたまに利用しますが、その時の気持ちを思い起こしてみると、「安くて、早くて、そこそこうまい」というベネフィットを提供してくれています。吉野家にだれも、ゆったりとした時間、高級感などは期待していません。そうしたベネフィットも提供していませんね。
こうした『手軽に済ませたい』とうベネフィットを求めているお客さんを狙った差別化戦略を”手軽軸”というわけです。
また、「高級感」「最高の接客サービス」「雰囲気の良さ」など商品やサービスで差別化する戦略が”商品軸”。
そして、行きつけのお店、使い慣れたブランド、お客さんに密着した”密着軸”があります。私も月に1度は、行きつけのお店で天ぷら定食を頂いている。決して、一元客の入るお店ではないが、大将の顔も知っているし、どんなメニューかも、味も知っている。
安心して利用できるお店というわけです。
東京ディズニーリゾートの差別化戦略は?
年間3,000万人の集客と、日本最高の集客力を誇るテーマパーク。
手軽軸では、ほかにもっと便利で行きやすいテーマパークもあるので、あてはまらない。
そうです!TDRは最高品質のアトラクション、イベント、サービス、パレード、まさに、「商品軸」で差別化していると言えますね。
4つの理論の三つ目、「差別化」。
「手軽軸」「商品軸」「密着軸」すべてを満たす戦略は難しい。どの戦略をめざしていくかが、マーケティングの根幹とも言えますね。
4P(製品・サービス、広告・販促、流通チャネル、価格)
お客さんに価値を
4Pとは、次の4点の頭文字をとったものです。
●製品・サービス(product):顧客に価値をもたらすもの
●広告・販促(promotion):製品・サービスの価値を顧客に伝える
●流通チャネル(place):実際に顧客に価値を届ける経路
●価格(price):価値に対する対価
製品・サービス(product)
製品・サービス(product)で言えば、TDRの場合、さきほどと重複しますが、アトラクション、イベント、飲食店、物販店ですね。
そして、これがそのまま差別化ポイントにもなっています。
我が家は、入園30分でオリジナルトミカに2,000円も使いましたもの・・・w
飲食店もファーストフード店に加えて、我が家はランチもディナーも予約して食べましたが、イベントとコラボしたレストランもありますね。
だって、ミッキーと一緒に写真が撮れるんですよ!w
ミッキーマウスは、ここにしかいないので、超強力な差別化ポイントとなっていますね。
広告・販促(promotion)
TDRを知らない人はいないので、ここにTDRがありますよという認知してもらうプロモーションは不要ですね。
クリスマスシーズン、夏休みシーズン、ハロウィン、いろんなイベントや雑誌の特集などで来てもらうための動機づけが、じっくり見てみると多いことに気付きます。
流通チャネル(place)
東京ディズニーリゾートに行かなければ体験できないので、テーマパーク自体が販路と言えますね。
価格(price)
最後に価格。
マーケティングの本質は、繰り返しになりますが、「お客さんに価値を提供して、その対価を頂くこと。」です。
価格で言えば、東京ディズニーランドのチケットも年々上がっていますね。その推移を見てみると、今は7,400円(2017年3月現在)となっています。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
USJもうそうですが、テーマパークの入園料金は上がり幅はすごいですね。それにもかかわらず、年間3,000万人を集客し、最高のサービスを提供してくれるのだから、あっぱれです。
TDRは、どのようにして対価を受け取っているのか
東京ディズニーリゾートの対価の受け取り方もチケット以外でもあらゆるところで、対価を受け取る仕組みが設けられていますね。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
チケット収入(アトラクション・ショ)のほかに、物販、飲食と収入も大きな収入。
確かに、座るベンチがあるところには、必ずと言っていいほどちょっとした食べものや飲み物が眼に入ってきます。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
グッズなど商品販売や飲食の収入(53%)のほうがチケット収入(46%)より高いんですよね。
グッズ収入はとにかくすごい。絶対にお土産買いますしね。
トミカ大好きなうちの息子は、行くたびに東京ディズニーランドオリジナルのトミカを買っていました。トミカだけで結局3,000円以上使いましたよ・・・。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
TDRの平均滞在時間は9時間と驚愕の数字です。職場と家以外で、同じ場所で9時間も過ごす場所は東京ディズニーリゾートをおいてほかにはないですね。
我が家も先日行ったときには、10時間くらい過ごしていましたもの。それだけ長く過ごせば、自然と「食べる」し、「飲む」し休憩をするたびにお金を使っています。
対価を受け取る仕組みを徹底している結果、顧客単価は一人当たり11,000円以上と驚異の数字です。家族4人で行けば、4万円以上は使う計算です。
我が家は、2歳の息子と3人で行きましたが、4万円以上使いましたわ。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
ベネフィット、ターゲット、差別化、4P(製品・サービス、広告・販促、流通・チャネル、価格)が徹底されている証拠です。
それぞれに一貫性があり、徹底されている結果、TDRを運営するオリエンタルランドの業績はとっても順調なのです。
資料:オリエンタルランド ファクトブック2016より作成
閑散期の1月~3月にも順調のようですが、それが逆に家族層には「閑散期なのに並ぶ時間が長くて疲れた」などという意見も出ているようです。
将来の顧客に対するケアをどうしていくかも課題ですね。
まとめ「マーケティングとは?」
ちょっと長くなってしまいましたが、大事なことはたったの4つです。
マーケティングの本質とは?
ついつい、スペック(仕様)に目に行ってしまいますが、大事なことはお客様に、ベネフィット(価値)を提供すること。
そのベネフィットはどんなものか(便利など機能的な価値なのか、かっこいい、思い出など情緒的な価値なのか)、
それをどんなターゲットに届けるのか、
競合に対する差別化されたポイントはどこにあるのか、
ベネフィットを提供し、その対価をもらう手段、価値を現実化するものは何か、
マーケティングは奥が深く、興味は尽きません。
どうすればモノが売れるのか。
商品の開発者はもちろんのこと、営業マンにも必須のスキルだと改めて感じました。
”お客様”を”読者”に言い換えると、ブログにも通じるものがありますね。
マーケティングの基本を身に着けたい!と思ったあなたに、ピッタリの本をご紹介します。
解説とストーリーと交互に出てくる構成になっているので、読みやすく、頭に残りやすいんです。手に取って後悔はないでしょう。
「マーケティングはお客様のココロの中で起きている」
この本にはこう綴られていますが、その「ココロの中」の知り方がわかる本でもあります。
ではでは。
コメント