株式を保有すれば企業からの配当金を受け取ることができます。
企業が儲けたお金の一部を株主に還元してくれるので、株主としてはとても嬉しいものです。
配当金は不労所得であり、クレームを言われることもないので、心穏やかに株を持ち続けることができます。株価の下落がきつければ心穏やか・・とはいきませんが。
高配当株への投資は、時間はかかるものの、積み上げていくことができれば家計の人生の安全性を飛躍的に高めることができますね。
それでは、配当金はどのように支払われているのか。
配当金狙いの投資で最低限見ておこう
配当性向とは
1株当たりの配当金÷1株利益(EPS)で算出されるのが「配当性向」です。
稼いだ利益のうち、どのくらい配当金に回していますか?というのを測るのに分かりやすいですね。
例えば、配当性向が100%であれば、得られた利益のすべてを株主還元しているということです。
これがいいかどうかは別問題で、高すぎる配当性向は、企業を成長させるための投資もしないということを意味します。
また、配当金を増やす「増配」余地がないので、配当性向は50%程度までの会社のほうが好みです。
配当性向が100%を超えている銘柄もありますが、避けたほうがいいでしょう。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローはいわゆる「現金を稼ぐ力」です。
私はここは最重要と考えています。
黒字決算でもキャッシュがなければ倒産します。
どれだけお金を稼げるのかを見ていくのに最適な指標です。
このため、営業利益率よりは売上キャッシュフロー率(営業CF÷売上高)の方を重視します。
余談ですが、ライザップグループが負ののれんにより営業利益は高く見せていたけど、営業キャッシュ・フローは全然だったというのは記憶に新しいところです。
高配当株の代表格「日本たばこ産業」
事例を見てみましょう。
日本たばこ産業(JT)は、国内株でも有数の高配当株であり、毎年増配してくれる連続増配株です。
2018年決算で15年連続の増配を予定しています。
2018年第三四半期の決算資料を見てみましょう。
9ヶ月の決算であり、年二回配当金を出すため、一回分を見ることができます。
営業キャッシュフローは、純利益から減価償却費などを差し戻して、法人税支払い後の真の得られたお金です。
家計で言えば、天引き後の給料みたいなものです。
これによると4,276億円のキャッシュを稼いでいます。すごいですね。
営業キャッシュフロー÷売上高でみる営業キャッシュフロー率は、25.5%にもなります。
売上の4分の1は現金で稼げる水準ですので、脅威的ですね。
タバコ会社は儲かります。
ここから配当金は支払われており、2,594億円を株主に還元しています。
得られたキャッシュのなかから配当金を出しており、とても健全なことがわかります。
配当金投資をする際には、最低限、稼いだキャッシュから配当金を支払うことができているかを見ています。
日本たばこ産業(JT)は、同決算期末時点で現金を2,800億円(前年同期比+約600億円)を保有していますので、仮に1円も稼げなくなっても、1年間は同水準の配当金を払えますね。
現実的にあり得ませんが。
サンリオはかつて高配当株であった
もし、営業キャッシュフローの範囲内で配当金を支払えなければ、減配するか、資産を取り崩して配当金を捻出しなければなりません。
配当金狙いでもっとも避けたいのは、減配されることです。
そして、減配するということは、キャッシュが思うように稼げていないというシグナルであり、遅かれ早かれ株価に影響してきます。
事例を挙げてみましょう。
私が保有するサンリオ株です。
購入した際には、コンテンツのライセンス料で利益が好調であり、ディズニー株のようにこれから先も安泰だと思われました。
強力なコンテンツを持ち、ライセンス料で安定して収入を稼げる企業はほかには見当たらなかったからです。
でも、サンリオの業績はそのあと、下降を続けました。
サンリオの売上高推移と営業キャッシュフロー推移
営業キャッシュフローの推移を見てみます。
サンリオの有価証券報告書より筆者作成
売上高も大きく落ちており、「現金を稼ぐ力」をみる営業キャッシュフローもめちゃくちゃ下がりました。
高配当株であったサンリオの利回りはみるみるうちに下がっていきました。
当然、株価も下がっていきましたね。
株主としては減配ほど痛いほどはありません。
給料をカットされるようなものです。
サンリオの業績が例え落ちたとしても、営業キャッシュフローが順調であれば、配当を維持したかもしれません。
しかし、現実には「稼ぐ力」が目減りしたことにより、大きな決断(減配)を経営陣もしなければならなかったのです。
サンリオのEPS(1株当たりの純利益)
当然のように、1株利益もどんどん下がっています。
2019年度の数字も四季報によれば、さほど期待できません。
サンリオの復活は遠いですね・・・。
サンリオの配当性向と1株配当金
配当性向と1株配当金の推移も見てみましょう。
配当金を維持していただけでも奇跡で、配当性向は100%を超え、もはやタコ足配当になれば、減配になるのは必然だったのです。
配当金狙いの投資は、わたしたちのポケットにお金を入れてくれるキャッシュマシーンとして機能してくれます。
年数をかければ、分厚い収入源として変わってくれます。
チェックしておきたいのは、減配のにおいがしないかということですね。
減配されれば株価も暴落する可能性が高いので、さっさと退却したほうが塩漬け株を作らなくて済むものです。(自戒)
高配当株+好業績であるのは必須
サンリオの事例のように、
- 業績が右肩下がり
- EPSが伸びていない
- 営業キャッシュフローが減る
- 配当性向が100%を超える
こうした場合は、減配必死なので、避ける銘柄ですね。
業績を見るのも、四季報や証券会社、企業のIRから簡単に見ることができます。
分かりやすいのは、楽天証券のスマホアプリです。
指標も多く掲載されており、ためになります。30万円以上口座にあれば、日経テレコンも利用できるので重宝しますよ。
12月決算期には、高配当株、連続増配株を仕込める良い機会です。
日本たばこ産業、ブリヂストン、花王などはあなたのポケットにお金を入れてくれることでしょう。
配当金は管理の手間がほとんどなく、不労収入として機能してくれるので、コツコツと積み上げたいものです。
ではでは。
コメント