アパレル名門のレナウン(3606)が民事再生手続きの申請をし、破産することになりました。上場廃止となり、株券は紙屑となってしまいますね。
私は保有していませんが(上場していることも知らなかった)、今後の参考にするために、改めて同社の業績や財務を見てみました。
自己資本比率50%近くと一見財務は健全に見えます。
今回は2月末の決算発表資料で、大きく注意喚起されていましたので、もし仮に保有していれば、さっさと処分していたと思います。
開示資料をきちんと読むことは必須ですね。
この記事では、倒産するような企業に投資しないために、どこを見るべきかを改めて見ました。
倒産企業から学ぶべきポイント
レナウンが民事再生手続きを開始しています。上場廃止の見込みです。
継続前提の前提に関する重要な事象等について
2月25日に発表された2019年12月期の決算資料で明確に書かれていましたので、決算資料を読んでいれば、保有するのが恐くなりますね。
要約すると、
- 売掛金の回収がうまくいってません
- 資金繰りがやばいです
- 金融機関の財務制限条項に抵触している(お金を借りられません)
加えて、コロナによる消費マインドの冷え込みでとどめを刺された感じです。
ちなみに、四季報にも「資金繰りの件」は書かれてましたよ!
業績の推移
決算資料にはっきりと資金繰りがきついと書かれていましたので、かなり明確なサインでしたね。
それまでにも、業績の推移を見てみると、かなり悪いことが分かります。
利益もほとんど出しておらず、2019年12月期(それ以前は2月決算)には、大きく赤字となっています。
最終利益も赤字続きで、株主還元もしていませんね。
自己資本比率50%近くなのに
自己資本比率は、財務の健全性を見るべきものでレナウンの50%近くの自己資本比率は悪くないですね。
中身を見てみると、利益剰余金がマイナスです。
利益剰余金は、企業が生み出した利益を積み立てたお金で、会社内部に蓄積されているものであり、上場したばかりの会社でなければ、通常、黒字経営で利益が蓄積されていれば、プラスです。
私は利益剰余金がマイナスの会社は問答無用で投資対象外としていますが、
レナウンは年々利益剰余金のマイナス幅が大きくなっていた
わけです。
キャッシュフローの推移を見ておこう
業績の推移も大事ですが、現金のお金の流れを見る「キャッシュフロー」は、重要です。
私は個別銘柄の分析の際には、現金を稼ぐ力を見る「営業キャッシュフローマージン」を見るようにしています。
営業キャッシュフローマージン:営業キャッシュフロー÷売上高
これは、スカイマークが倒産した際に、キャッシュフローの流れから読み取ることができたという経験があるからです。スカイマーク株は保有してなかったですが。
レナウンは、たびたび営業キャッシュフローがマイナスであり、また、営業キャッシュフローマージンはマイナスになっています。
リース会社や不動産会社のように、お金を借りて業績を伸ばす業界でなければ、通常、営業キャッシュフローはプラスであることが望ましいので、マイナスというのは危険シグナルですね。
また、手持ち資金もかなり減っていることが分かります。
売上債権回転率
レナウンは、2月の決算資料で「売掛金が回収できていない。資金繰りが苦しい」という発表されていますが、もし書かれていなければどうでしょうか。
こちらの記事でも書いていますが、売上債権回転率という指標を見るとその兆候がありました。
6回転(2ヵ月に1回入金)が理想とも言われるようですが、レナウンは3回転強まで下がってきていました。
売掛金の回収が遅れていることが財務指標からも読み取れてましたね。
また、さきほどのキャッシュフロー計算書には、「売上債権」の記載があり、急激に増加している場合は注意してみるほうがいいかもしれません。
キャッシュ・コンバージョン・サイクル
いくら売上を上げても、現金が入金されるまでが大事ですね。
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)という指標がありますが、レナウンはキャッシュの回収が伸びていて、「資金繰りが苦しい」というのは財務指標からも出ていたんですね。
同じアパレルで絶好調のワークマンでは、35日で現金が入ってくるサイクルであり、ワークマンの財務も考えると倒産なんてありえないくらい優良ですね。
従業員が大きく減っている
業績が良く、好調であれば、人手が足りなくなるものです。
ポイントは4つあると考えますが、その4つ目です。
レナウンはどんどん人が辞めていることが分かります。すさまじいスピードで減っていましたが、こういうところにもサインがありますね。
個別銘柄の投資の際に注意しよう
個別銘柄への投資を基本としているので、レナウンの事例は改めて、自分を戒めようと思いました。
もちろん、レナウン株は大暴落。上場廃止になれば文字通り紙屑となります。スカイマークが倒産したときも同じでした。
今回のポイントをまとめておくと、
<開示情報は必ず読む>
- 継続前提に疑義が注記されている企業は避ける
- 業績が下がり続けて赤字になっている
- 利益剰余金がマイナスの会社は避ける
- 営業キャッシュフローマージンがマイナスの会社は避ける
- 売掛金の回収期間が伸びている会社は避ける
- 従業員が大きく減っている(業績が伸びているのに従業員が減っている場合も注意)
いずれも、開示情報から分かるものですね。あとは監査法人をころころ変えている会社も要注意かと。
保有銘柄は一応上記は見るようにしていますが、レナウンの倒産で、
開示情報をきちんと読むことの重要性が改めて分かりましたね。
PL(損益計算書)は最も重視していますが、キャッシュフロー計算書は必ず見ておきたいですね。
こちらの本がコンパクトにまとまっているので、一読することを強くお薦めします。
営業キャッシュフローマージンの重要性は、こちらの米国株投資の本にも書かれており、参考になりますよ。
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