「結果にコミットする」とあのCMで一躍有名になったRIZAPグループが巨額赤字でストップ安水準まで売り込まれました。
今年、第三者割当増資を実施してキャッシュを手に入れている同社ですが、私も一時期投資を検討していました。
相方に話したところ、「絶対投資しないほうがいい」という進言もありw、財務諸表を見て即刻投資対象から外したのを記憶しています。
株式投資、特に個別銘柄への投資をする際には、必ず見ておきたい投資指標とは?1秒で判断できます。
RIZAPグループの巨額赤字
RIZAPグループは、赤字企業の買収を繰り返して、どんどん肥大化している会社です。
営業利益は、2018年度上半期で138億円の赤字と大幅下方修正をしています。
営業利益はあてになるようで、あてにならない財務指標ですが、要はコントロールしやすい数字です。
日経新聞にこんなことが書かれています。
この路線変更は、RIZAPの利益に大きく貢献してきた会計処理が今後は使えなくなることも意味する。この会計処理とは、買収の際に発生する「負ののれん」だ。
負ののれんとは買収額が買収先の純資産を下回った場合に計上するもので、その差額は営業利益に一括計上される。経営不振の赤字企業を中心に買収してきたRIZAPでは、この一時的な会計上の利益で営業利益が押し上げられていた。18年3月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上を負ののれんが占めた。
だが今回、矢継ぎ早の買収路線を修正することで、今期見込んでいた「負ののれん」による利益が計上できなくなる。新規買収による黒字企業の収益貢献も見込めず、M&Aの凍結で総額100億円を超える利益が押し下げられる。
RIZAPは札幌証券取引所アンビシャスに上場する。2003年に設立したわずか15年の会社だが、積極的なM&Aで急拡大してきた。13年3月期に10社だった連結子会社は18年3月時点で75社に膨らんだ。この半年でも買収を続けており、11月時点での連結子会社は85社にものぼる。
要約すると、
- 赤字会社の買収によって「負ののれん」を計上している
- 「負ののれん」は営業利益の押し上げ要因となる
- 営業利益の6割以上が「負ののれん」によるもの
- 新規M&Aやっている場合じゃなくなったから、M&Aは当分凍結
普通M&Aで買収した場合、資産価値より買収価格が高いので、その差額を経費として計上しますが、RIZAPグループはその逆を利用したわけですね。
そもそも出血の多い赤字会社の買収ばっかりなので、お荷物になるのは目に見えていたわけですが。
1秒チェック!!営業キャッシュフローを見よ!
必ず見るのが「営業キャッシュフロー」です。
損益計算書はドレッシングしようと思えばできるようですが、『現金の流れ』を示すキャッシュフロー計算書はごまかしがききません。
営業キャッシュフローは、本業でどれだけ『現金を稼ぐ力があるか』を見ることができますね。
RIZAPグループは、2018年度上期は▲76億円と本業で現金を稼げておらず、現金が出て行っている状態です。
営業キャッシュフローがマイナスの会社は、投資対象あらずです。
営業利益が赤字よりも、この営業キャッシュフローがマイナスのほうが悪いですね。
売上高に対する営業キャッシュフローの比率で20%あれば、稼ぐ力がめっちゃ強い企業なので、そうした企業への投資を好んでいます。
やっぱり、現金稼げないと潰れますから。
いくら黒字でもね。
IFRSへの移行なども拡大時期にしていますし、なにか勘ぐってしまいますね。
粉飾していないことを祈るばかりです。。。
決算短信を見て、気になるのが、最初の1ページ目ですね。
キャッシュフロー計算書の概要も記載されるのが多いように思っていますが、同社はありません。
記載したくないからなのか・・・とやっぱり勘ぐってしまいます。
同社の上場している子会社(ジーンズメイトとか)もそうでした。
まだ現金を570億円も有しているので、倒産することはないでしょうが、このうち第三者割当増資で360億円も手に入れていたのかと思うと・・・・。
稼げる会社への投資が鉄則です
営業キャッシュフローがマイナスの会社は、基本論外ですね。
リース会社などはマイナスになることもありますが、現金を稼ぐ力の強い企業への投資が大事だと感じます。
事例を出しましょう。
スカイマークという会社が上場していたのですが、倒産したことは記憶に残っているかもしれません。
そのスカイマークですが、売上高860億円も上げている会社でしたが、
わずか18億円の赤字で倒産
しました。
スカイマークは、売上860億円もあり、それまで数十億円の黒字企業だったんですが、たった18億円の赤字を出して、倒産してしまったんです。
たった一期の赤字、それもたったの18億円です。
自己資本比率も50%を超えていたんです。
それが、倒産したわけです。
返せるお金がなかったからですね。
スカイマークのキャッシュフローを見れば予見できた
そこで見るのがキャッシュフロー計算書です。
日本では2000年に導入されたみたいですね。
キャッシュフロー計算書を見れば、その会社がどのくらいお金を増やすことができているのか(減らしているのか)が分かるので、
『資金繰りが苦しくなっている、経営が行き詰っている』
ことが分かるのです。
青グラフの「営業活動によるキャッシュフロー」は、本業で稼ぎだしたお金です。
スカイマークは航空会社ですので、JALやANAのようにお客さんに飛行機に乗ってもらうことでお金を稼ぐわけです。
それが、どんどん減っているのが分かります。
2013年度はたったの3億円しか稼ぎ出せていません。
一方、「投資活動によるキャッシュフロー」は、代表的なのが航空機の購入です。
エアバス(仏)社の航空機を購入していたわけですが、稼ぐキャッシュの数十倍の設備投資を行っているのが分かります。
2013年度は3億円しか稼げていないのに、139億円も使っちゃっているわけです。
これだけ大規模な投資をしているのは、あまりにもずさんな経営だったのが今思うと分かりますね。飛行機すら飛んでいない状態ですので、誰も乗ることがなかったんです。
身の丈に合わない飛行機を買ったばかりに、倒産してしまったんですね。
営業キャッシュフローは必ず見よう
スカイマーク株を保有していたわけではありませんが、この1件があって以来、必ず営業キャッシュフローの流れを見るようにしています。
決算短信なり有報を見れば、1秒で分かりますね。
多くの会社は決算説明会資料(パワポ)を作っていますが、そこのキャッシュフロー計算書のことが書かれていなかったら、ちょっと「?」と思うのが良さそうです。
RIZAPグループはどうなるやら。
しばらく東証への上場はなさそうですね。
株価は下がりまくっています。
この本は、株式投資を始めるなら読んでおくといい良書です。
ではでは。
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