夫婦がともに年収700万円以上、つまり世帯年収が1,400万円以上という共働き世帯はわずか1.8%(25万世帯)(平成28年労働力調査)。
こうしたパワーカップルたちは「わずか1.8%しかいない1400万円以上稼ぐパワーカップルはどんな家に住むことができるのか」でも触れたように、夫婦で合計6,000万円の住宅ローンを組んだとしても、年間約400万円の貯金をしていくことができる世帯です。
なんともうらやましい世界ですが、こうしたパワーカップルがどれだけ税金を支払っているのか気になったので調べてみました。
収入アップとともに上がる所得税率
労働力調査によると約8割が雇用者、つまりサラリーマン世帯でしたので、サラリーマンを前提に話を進めていきましょう。
普段、私たちサラリーマンは源泉徴収であり、給料から勝手に税金が引かれているので、「あー手取りが少ない」って思うくらいで、自分の税率がいくらかをあまり気にする機会はないですよね。
「サラリーマンの所得税ってどうやって決まるの?基本的なことは知っておこう。」にもあるように、基本的なことを知っておきましょう。
所得税は、収入が増えるほどに税率が上がっていく累進課税制度です。
税率は平成27年以降このようになっています。出典は国税庁ホームページより。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得は、年収とは違いますね。
イメージはこんな感じで、給料から給与所得控除と所得控除を差し引くと、課税所得が出てきます。
この課税所得に上記税率を掛けると所得税が分かります。
例えば、課税所得が500万円であれば、
500万円を分解して、
195万円以下は税率5%
195万円超330万円以下は税率10%
330万円超695万円以下は税率20%
つまり、
195万円×0.5+135万円×0.1+170万円×0.2ですね。
という感じで所得税を計算します。
ただこれだと面倒なので、例えば「課税される所得金額」が500万円の場合には、求める税額は次のように上記早見表を活用すると、簡単に計算することができます。
というように計算することができますね。
パワーカップルの所得税はいくら払っている?
夫婦ともに年収700万円以上を稼ぐ共働き世帯はわずか1.8%。
このパワーカップルの税金を調べるために、「ふるさと納税は給料以外の収入があった場合にどうなるの?便利な計算ツールを使おう」などでもお世話になっている次のツールを活用しました。
利用した計算ツール
この計算ツールのいいところは、本人の収入や配偶者の収入、その他控除などきめ細かく設定することができることです。
今回は、夫婦の年収が同じ、15歳未満の子どもが1人いると仮定して試算してみました。
使い方はこんな感じです。
まずは、本人の収入を入力します。
次に配偶者の収入を入力。今回は本人と同額で試算。
扶養家族は、15歳未満を1人という設定です。
すると、夫婦二人の所得税と住民税を計算してくれます。
5つのパワーカップルの税金(所得税+住民税)
この方法で、次の5つのパターンを見てみましょう。
- 年収700万円ずつ(世帯年収1,400万円)
- 年収800万円ずつ(世帯年収1,600万円)
- 年収900万円ずつ(世帯年収1,800万円)
- 年収1,000万円ずつ(世帯年収2,000万円)
- 年収1,500万円ずつ(世帯年収3,000万円)
結果はこうなりました。
上記は所得税と住民税の合計値です。
世帯年収1400万円だと、夫婦で140万円もの税金を払っているんですね。
手取りを計算するには、これに社会保険料が差し引いてみる必要があります。
年間600万円以上の税金を納める、年収1,500万円以上ずつ稼ぐスーパーパワーカップルは2万世帯、わずか0.1%です。すごすぎますね。
給与所得者の所得税における割合は?
所得税の7割近くは700万円以上の人
ここからはパワーカップルとは少しずれます。
個人の所得データによるからです。
面白いデータを見つけました。
日本経済新聞がまとめた国税庁「民間給与実態統計調査」(平成27年)に基づいて作成されたビジュアルデータによると、
700万円以上の人は全体の12%となっています。
所得税額の割合で見ると、実に68.1%にもなります(ちなみに1,000万円以上だと49.1%)。
このデータは民間給与ですので、公務員や大学職員などの給料は除かれています。
パワーカップルは、公務員同士、あるいは、配偶者が公務員という場合もあるので、実際の比率はもっと高いかもしれません。
源泉徴収額だと700万円以上で90%!?
ということで、もう一つ面白いデータを見てみましょう。
国税庁が毎年実施している「申告所得税標本調査結果」というものがあります。
目的はこのように書かれています。
申告所得税納税者について、所得者区分別・所得種類別の構成、所得階級別の分布及び各種控除の適用状況の実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的
このデータのうち、給与所得者の割合を見てみると700万円以上は34.9%と実に3人に1人が700万円以上となっています。
このうち、年末調整された源泉徴収税額の金額割合で見てみると、700万円以上で90%にも至ります。すごすぎですね。1,000万円以上で8割超えてますけど。
このデータは、年末調整されたものだけなので、年末調整していないデータは入っていません。
累進課税制度のすごさを改めて感じました。
稼げば稼ぐほど税金を納めるというのは、至極当たり前のことかもしれませんが、ものすごいものがありますね。
パワーカップルは納税額もすごかった
「わずか1.8%しかいない1400万円以上稼ぐパワーカップルはどんな家に住むことができるのか」で見たように、数はかなり少ないわけです。
700万円以上の人に絞って見てみると、
民間給与実態統計調査(2014年)によると、約4756万人の給与所得者が約8兆5124億円の所得税を納めています。
このうち、
約半分(49.1%)を、4.1%の「1000万円超」以上
約70%を12%の「700万円以上」
の人たちが負担しているんですね。
国税庁のデータからはパワーカップルかどうかははっきりできませんが、いずれにしろものすごい納税負担だということが分かります。
んーすごい。
ちなみに、パワーカップルの話に戻すと、夫婦で700万円ずつ稼ぐのと一人で1,400万円稼ぐのでは、夫婦で700万円ずつ稼ぐ方が手取りは増えます。
これは、いま見たように累進課税制度のすごさによるものですね。
また、労働力調査によると181時間以上働いている人が51.4%と半分以上を占めます(もっと細かく見ると、241時間以上は12.5%)。
すごい年収は残業代に依存しているものかもしれません。
私は残業せずに、資産運用も踏まえて、収入をあげていきたいなぁ。時間大事です。
ではでは。
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