家計も企業もキャッシュは重要なのは言わずもがなです。
下落相場に入ってきているように思いますが、キャッシュを保つことや迅速な損切りは欠かせないです。
最近、日本電産の永守社長やファーストリテイリングの柳井社長の本を読んだりしているのですが、「キャッシュ」を持つことの重要性を説いています。
キャッシュ( 現金) が 企業 価値 の すべて の 源泉 で あり、 様々 な 経営 判断 を する 際 の 最も重要な基準
引用:永守 重信. 永守流 経営とお金の原則 (p.32). 日経BP. Kindle 版.
起業家十戒
10.つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。
引用:一勝九敗 柳井正
株式の多くの資金を投じていますが、投資先を選ぶ際にも「キャッシュ」創出力の高い銘柄に投資するようにしています。
永守氏と柳井氏のおすすめ本です。
営業キャッシュフローに着目
売上より利益、利益よりキャッシュというのが基本とまで日本電産の永守社長は言っていますが、キャッシュの創出力の高い企業はそれだけ財務面での不安も小さいものです。
投資している会社の一つをご紹介します。
日本ピラー工業という大企業ではありませんが、ニッチ分野で強みを持つ会社。
同社の営業キャッシュフローは、純利益よりも多く、また、営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー÷売上高)は安定して10%をゆうに超えています。
純利益よりも営業キャッシュフローが多い会社は、アクルーアル(質の良い利益)を出している会社ともいわれ、同社はそれに当てはまります。
当然ながら、財務もかなり健全ですね。というか自己資本比率80%超えとなっており無敵なレベルです。
AmazonもCFを重視した経営をしています。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)も重要
キャッシュ創出力の高い会社は魅力的ですが、キャッシュインが早い会社も魅力的です。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)という指標にも着目しておくといいですね。
定義はこちら。
- 売上債権回転日数:商品を販売してから現金を回収するまでの期間
- 基本的に短いほうが良い(入金が早いため)
- 棚卸資産回転日数:商品を仕入れて、それを販売するまでの期間
- 基本的に短いほうが良い
- 仕入回転日数:商品を仕入れてから現金を支払うまでの期間
- 基本的に長いほうが良い(出金を後ろにできるため)
- キャッシュコンバージョンサイクル(CCC):商品を仕入れて、販売して、現金化するまでの流れ
- CCCは短いほうが良い(運転資金の借入する必要性を小さくできる)
小さな会社ですが、日本リビング保証(7320)という会社をご紹介します。
同社は、CCCがマイナス、つまり、キャッシュインが早い会社で資金繰りもかなり楽なことが想定されます。
マイナスということは、サービスを提供する前にキャッシュインがあるわけですから、すごいことです。
あのAppleもCCCはマイナスですね。
こうしたCCCの早い会社は魅力的ですね。
9058 トランコム
それでは、キャッシュフローが良く、CCCも早い会社を1社紹介します。
名古屋に本社を置く物流業務全般の一括請負を手掛けているトランコム(9058)という会社です。
株価6790円、PER10.2倍、PBR1.41倍、グレアムのミックス係数22.5以下と水準も良いですね。
早速、営業キャッシュフローと純利益の推移を見てみましょう。
純利益よりも営業キャッシュフローが上回る、アクルーアル(質の良い利益)を出している銘柄です。
グラフ化すると美しいですね。
自己資本比率も60%を超えており、全く問題ありません。
CCCも見てみると、直近では18.8日と非常に短いのが分かりますね。
同社は、株主還元も充実している会社です。
22期連続で増配を予定しており、毎年のように配当金を増やしてくれています。
この20年間で配当金を10倍以上に増やしていますが、配当性向は20%前後で低く抑えられており、無理した配当を出しているわけではないですね。
こうした配当を増やし続けることができる背景には、ビジネスの強さはもちろん、キャッシュフローが安定していることは見逃せないですね。
キャッシュ創出力の高い銘柄に投資をしよう
まとめておきましょう。
キャッシュ力の高い銘柄は、長期保有しやすいと言えますね。
今回紹介したトランコムのように、配当を毎年増やしていると保有メリットも大きくなります。
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