確定申告の時期ですが、株式投資をしている場合、配当金を得ていることも多いと思います。
その際に、確定申告の方ほうによっては、税金負担を軽減することができます。節税ですね。
通常、特定口座(源泉徴収あり)を選んでおけば、特に確定申告をする必要はないのですが、
次の場合は、有利になることがあります。
- 譲渡損失が出ている場合(申告分離課税)
- 給与収入の税率が低い場合(総合課税)
総合課税を選んだ場合、住民税を申告不要という方法も取ることで節税につなげることもできますよ。
市町村の税事務所に相談に行ってきましたので、まとめておきます。
株の配当金を得たときの節税方法
まず、結論からですが、
- 配当金を含めた課税所得が695万円以下の人は、総合課税を申告するとお得
- 株式売却損が出ている人は、分離課税を選び損益通算をするとお得
となります。
総合課税を選ぶ
所得に対して税率をかければ納める税金がわかります。
この所得というのは、いわゆる課税所得であり、額面給料からさまざまな控除が差し引かれたあとの所得です。
また、給料以外にも収入がある場合、すべての収入を合算して納税額を算出する総合課税となります。
総合課税を選択した場合、その所得によって税率が変わってきます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
配当金の税金は受け取るときに、20%(所得税15%+住民税5%)がすでに差し引かれています。
この場合、総合課税を選んで申告すると、住民税は10%に上がりますが、課税所得によって所得税が下がります。
- 所得税に対する配当控除 10%(課税所得が1000万円超えは5%)
- 住民税に対する配当控除 2.8%(〃 1.4%)
です。
参照 国税庁HP No.1250 配当所得があるとき(配当控除)
所得税率-10%のため、所得税率が20%以下の方は有利になるわけです。
住民税は10%に上がりますが、-2.8%=7.2%が税率になります。
実際、私が総合課税で申告したときには、
配当控除を受けない場合の還付金は、24,519円だったのが、
配当控除を受けることで、33,627円と還付金が上がりました。
また、ややこしいですが、所得税の確定申告をして、住民税の申告を不要という方法を取ることもできます。平成29年度地方税法の改正により、選択できるようになっています。
住民税は、国民保険料や保育料などの基礎になるため、税率が上がると負担が増える可能性もあります。
住民税の申告不要を選ぶと、税率5%に抑えることができますね。
神戸市のHPが分かりやすかったです。
課税所得が695万円以下の場合、総合課税を選び、住民税の申告不要とするのが最も税率が低く抑えることができるわけですね。
所得税の確定申告書の写しなどを添付して、市町村の税事務所に提出する必要がありますので、お住まいの自治体にご確認ください(※税務署ではありません)。
分離課税を選ぶ
譲渡損失がある場合、配当金との損益通算ができるのが分離課税です。
この場合、譲渡損失の金額によっては、配当金に課せられた20%の税金を取り戻すことができます。
この場合、住民税の申告は不要です。
配当金を得た場合は、住民税の申告不要も検討しよう
配当金は、受け取るときに20%の税金がかかっているので、特になにもする必要はありません。
ただし、確定申告で総合課税を選択すると、所得税と住民税の税率が、
- 課税所得が330万円以下 7.2%(所得税0%+住民税7.2%)
- 課税所得が695万円以下 17.2%(所得税10%+住民税7.2%)
と20%を下回ります。
また、所得税の確定申告をし、住民税を申告不要を選択した場合、
- 課税所得が330万円以下 5.0%(所得税0%+住民税5.0%)
- 課税所得が695万円以下 15.0%(所得税10%+住民税5.0%)
住民税は、国民保険料などの計算の元になるため、リタイア世代で配当金生活をしている場合はこの方法が良さそうです。
譲渡損失があり、損益通算がある場合は分離課税を利用しておくことで、税金を取り戻すことができます。
所得税率が高く(23%以上)、譲渡損失もなく、特定口座(源泉徴収あり)であれば、なにもしないことがもっとも低い税率となるので、何もしないという対応がベストになりますね。
国税庁のサイトや市税事務所に確認のうえ、記事をまとめていますが、最終的には税務署等にご確認をお願いします。また、WEB相談できる税理士ドットコムも活用してみてください。
ではでは。
コメント