ハンバーガーチェーンでは、マクドナルド(国内1位)とモスバーガー(国内2位)が国内ツートップ。
私は、お店を利用するならモスバーガーのほうが断然好きですが、いざ投資するならどっちか?と言われると、迷わず、マクドナルド(日本マクドナルドHD)を選びます。
その理由は、両者のビジネスモデルの違いにあります。
日本マクドナルドHD(2702)とモスフードサービス(8153)を比較してみました。
マクドナルドとモスバーガーを比較
まず、簡単に両者の比較をしてみました。
マクドナルドHDは、なんと2899店舗を有しており、モスバーガーの1293店舗と比較すると、2倍以上の店舗数の違いがあります。
私の周りでも、マクドナルドは徒歩圏に3店舗はありますが、モスバーガーは電車を乗らないといけません。
業績で見ても、マクドナルドの売上は2870億円とモスバーガーの4倍以上、営業利益は290億円と18倍以上、営業利益率でも5倍以上の違いがあります。
規模も利益率も圧倒的に日本マクドナルドHDがモスフードSを上回っています。
圧倒的な差ですね!
日本マクドナルドHDの業績推移・配当金推移
それでは、まず日本マクドナルドHDの業績を見ておきましょう。
記憶に残っている方も多いと思いますが、2014年、中国で加工されているチキンマックナゲットに期限切れの鶏肉が含まれている可能性がある鶏肉偽装問題が発覚し、マクドナルドの客離れにより業績は低迷しました。
確かに、あのときはお店も活気がなく、近寄りがたい感じでしたが、その後、店舗改装やメニュー刷新など様々な施策を実施して、V字回復を果たしています。
利益率の推移で見てみると、見事なまでのV字回復ですね。
業績が悪化しているときに購入していれば、株価は3倍にも膨れ上がっています。
現金を稼ぐ力を見る営業キャッシュフローマージンについても、同様にV字回復を果たしており、19年12月期は16%と極めて高い現金創出力を生み出しています。
マクドナルドHDのEPS&配当金の推移
日本マクドナルドHDは、配当金は極めて安定していますね。
このところ、やや増配していますが、安定配当株です。
EPSもV字回復以降は伸びており、十分な配当余力を有している銘柄です。
モスフードサービスの業績推移・配当金推移
続いて、モスフードサービスの業績も見ておきます。
モスバーガーが売り上げの9割以上を占めている同社ですが、業績はここ5年はやや停滞しています。
営業利益率は1~6%程度とそれほど高くはありません。マクドナルドHDを見ていると低く見えますね。
営業キャッシュフローマージンは、安定して稼ぐ力があることを示しています。
モスフードサービスのEPS&配当金推移
配当金は、意外にも減配しらずで、確認できた2010年3月期以降一度も減配していません。
ただ、配当性向は20年3月期予想では、80%を超えており、配当性向の安定度を見ても、EPS推移が安定していないことが分かります。
ビジネスモデルの違い
私は利用するならモスバーガーですが、投資するなら日本マクドナルドHDかなと考えています。現在は、どちらも保有していませんが。
それは、両者のビジネスモデルの違いにあります。
マクドナルドHDの店舗数内訳
日本マクドナルドHDの有価証券報告書を読み進めていくと、色々と情報が掲載されています。
冒頭に見た2899店のうち、直営が909店舗でフランチャイズ店舗が1990店舗と多くはフランチャイズ店です。
モスフードサービスも同様にフランチャイズ店舗が多くなっています。
マクドナルドの稼ぐ源泉
日本マクドナルドHDの売上原価を見てみると、
直営店は86%となっていますが、フランチャイズ収入の原価は66%となっており、日本マクドナルドHDとしては、フランチャイズ店が増えるほど、多いほど利益が増える仕組みです。
収入面では、直営のほうが多くなっていますね。
規模で言えば、フランチャイズ収入より、ハンバーガーが売れるほうが売り上げは大きいというわけです。
日本マクドナルドHDは、子会社である日本マクドナルドに不動産の賃貸等を行っています。
日本マクドナルドHDは、その店舗の土地建物を賃借しており、95%以上にも至ります。
ホールディングスは、土地を多く保有し、子会社である日本マクドナルド㈱は、建物を多く保有しています。
こうした不動産の賃貸収入で多くの収入を得ているのが日本マクドナルドHDです。
2018年12月期の有価証券報告書によると、なんと258億円もの利益を出しています。
営業利益280億円を出しているなか、258億円も不動産で稼いでますので、
もう不動産会社やん
という感じです。
日本マクドナルドHDは、本社で不動産を借り上げ、FCに転貸し、転貸料で儲かるビジネスを展開していることが分かりますね。
これは、米国マクドナルドも同じで、一等地に不動産を持ち、その賃料で稼ぐ安定したビジネスモデルを有しているんですね。
不動産リースで稼ぐマクドナルド
営業利益と賃貸等不動産損益の推移を調べてみました。
2011年12月期以前の有報は、大した額じゃないので開示しないと一言があるくらいで分かりませんでしたが、2012年12月以降の有報では、賃貸等不動産損益が開示されています。
直営店の売上やフランチャイズ収入で稼ぐ損益計算書しか見れませんが、実態はFCへの転貸料で稼ぐことができています。
セグメントでも単一のためと、不動産収入は開示していないくらいですw
鶏肉偽装のときの2014年、2015年もハンバーガー店は苦しんでいますが、不動産収入はきちんと入っていたわけです。
素晴らしいビジネスモデルですね。
FC収入と転貸料で稼ぐので、本部は不動産の目利きは相当なものだと伺えます。
モスフードサービスも同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、実態は全然違いました。
モスフードサービスは、不動産では全然稼げていない会社なのです。
改めて、同社の営業利益の推移を見てみると、稼ぐ力は圧倒的に日本マクドナルドHDにありますね。
マクドナルドとモスバーガーの株価推移
マクドナルドとモスバーガー、どちらもハンバーガーを売るお店を経営しているわけですが、両者のビジネスモデルは違いがありましたね。
日本マクドナルドHDは、ハンバーガーの売上やフランチャイズ収入はもちろんのこと、FCへの転貸収入でも稼いでいるビジネスを展開している点に強みがあります。
過去5年間の株価推移です。
日本マクドナルドHDが圧倒的なパフォーマンスを出していますね。
直近6ヵ月で見ると、モスフードサービスのパフォーマンスが高くなっています。投資は難しい。直近6ヵ月、モスは月次も良く、業績も好調で意外といいやんという見直し買いかなと思っています。
どちらの投資が正解かはわかりませんが、業績も良く、不動産収入も安定している日本マクドナルドHDは、魅力的な投資先と言えますね。
食べるなら、私はモス派ですがw
トップを独走する日本マクドナルドHD、あとを追うモスフードサービス。
ハンバーガーを売る仕事でも、その中身には違いもあり、面白いですね。
以上、日本マクドナルドHDとモスフードサービスの比較でした。
ではでは。
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