高配当株の代表銘柄のひとつといってもいい三菱商事(8058)の21年3月期1Qの決算が発表されましたね。
配当を減配しない累進配当宣言銘柄(21年度まで)として注目をしていましたが、配当金については減配を発表しておりません。
コロナ禍の影響を大きく受けており、大きな減益を発表しています。
減益発表により配当性向が急上昇していますね。
総合商社は軒並み大きな減益決算
総合商社は各社21年3月期1Qの決算を発表しています。
各社コロナ禍の影響を大きく受けており、大きな減益を発表しています。
純利益の推移をまとめてみました。
住友商事が最終赤字予想を発表しています。
前期、最終赤字に落ち込んでいた丸紅が黒字転換を予想していますね。
三菱商事も大きな減益を予想しています。
こうしてみると、総合商社トップの純利益を誇る三菱商事ですが、伊藤忠商事と交代する形ですね。
20年3月期と21年3月期の純利益の比較です。
純利益 | 8058 | 8001 | 8031 | 8053 | 8002 | 2768 |
百万円 | 三菱商事 | 伊藤忠商事 | 三井物産 | 住友商事 | 丸紅 | 双日 |
2020/03 I | 535,353 | 501,322 | 391,513 | 171,359 | -197,450 | 60,821 |
2021/03予 I | 200,000 | 400,000 | 180,000 | -150,000 | 100,000 | 40,000 |
前年同期比 | △62.6% | △20.2% | △54.0% | △187.5% | – | △34.2% |
赤字転落の住友商事が最も大きな減益予想ですが、三菱商事もそれに次いで大きな減益発表となっています。
伊藤忠商事も20%の大きな減益ですが、最も軽微ですね。
三菱商事の配当性向
三菱商事の配当利回りは5.8%と非常に高い水準ですが、今回の決算発表によって、配当性向が大きく急上昇しています。
配当性向は「1株当たりの利益に対する配当金を見る指標」です。
2016年3月期の最終赤字を除けば、配当性向は20%~30%台で推移していました。
それが、99%にまで上昇しています。
ちなみに、純利益の減益予想が総合商社のなかで最も軽微であった伊藤忠商事と比較してみます。
伊藤忠商事の配当性向も上がっています。
とはいえ、32.9%と30%台であり、配当性向に余裕がありますね。
増配は続けられるのではないでしょうか。
三菱商事の21年3月期1Q決算
1Q決算も非常に落ち込んだものとなっていますが、右下の配当金については「134円を見込む」としており変更はありません。
三菱商事は、中期経営計画の最終年度である2021年度までは、
累進配当政策
と言って、「減配せず、配当を維持または増配する」株主還元を取り入れています。
このため、減配リスクは低いと考えられますが、配当性向が99%にまで上昇している点では、やや黄色信号が点灯しているといっていいかもしれません。
余談ですが、出光興産(5019)が中期経営計画で下限配当として1株160円を掲げていましたが、21年3月期1Q決算発表の際に、何の説明もなくしれっと減配(1株120円)を発表していました。
配当金政策も、ない袖は振れませんので、2Q以降の業績が悪ければ、三菱商事の減配の可能性もあると予想します。
自動車、資源が大きく減益
業績の悪化を招いているのは、資源価格等に影響している「天然ガス」「金属資源」分野に加えて、「自動車」が大きく下げています。
原油価格は一時期より上がっていますが低迷しています。
航空需要、自動車需要の回復が必要ですね。
自動車は主に三菱自動車の減損が大きく影響していますが、もはやお荷物でしかないと思いますので、三菱自動車はさっさと切ればいいのに・・・と素人ながらに思います。
三菱商事は、三菱自動車の20%の株式を持つ第2位の大株主です(1位は日産自動車の33.99%、20年3月時点)。
総合商社の配当金、配当性向の比較
最後に、総合商社の配当金と配当性向を比較しておきます。
丸紅、双日は減配を実行しています。
三菱商事、伊藤忠商事は増配を予想していますね。
配当性向で考えると、三菱商事の99%は際立って高く見えます。
配当金 | 会社名 | 20年3月期 | 21年3月期 | 増配率 | 配当性向 |
8058 | 三菱商事 | 132 | 134 | 1.52% | 99.04% |
8001 | 伊藤忠商事 | 85 | 88 | 3.53% | 32.86% |
8031 | 三井物産 | 80 | 80 | 0.00% | 76.92% |
8053 | 住友商事 | 70 | 70 | 0.00% | – |
8002 | 丸紅 | 35 | 15 | △57.14% | 26.04% |
2768 | 双日 | 17 | 10 | △41.18% | 31.06% |
株価は上がってきていますので、悪材料は出尽くしかもしれません。
配当利回り6%近い点は魅力的です。
期待通り、累進配当政策を取り入れている21年度までは減配しないでもらいたいものです。
高配当でも減配を実施した銘柄をピックアップしてみました。
配当金投資では、2つの指標の推移を見ておくことが必ず必要です。
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