新型コロナウイルスの影響で、壊滅的な打撃を受けているのがホテル業界です。
移動規制によって、稼働率は30%、20%台まで下がっているとの報道も出ています。
ホテル業界は、客室を整備して泊まってもらうビジネスですので、固定費を簡単に削減できないビジネスです(飛行機も似ていますね)。オフィス賃貸も似ていますが、継続的な家賃収入とはやや異なります。
新型コロナウイルスにより株価も大きく下げましたが、収束すれば、ホテル需要は徐々に戻ってくると想定すれば、売られすぎた銘柄は投資妙味があると考えます。
訪日外国人は強烈に減っている
まちなかを歩いて見ても、一目瞭然にわかりますが、賑わっていた外国人インバウンドはいまはもう見ることがないですね。
まだ3月の数値は出ていませんが、2月の数字は、日本政府観光局(JNTO)によると、
前年比 ▲58.3%
強烈な下げです。
3月はもっとえげつない数字が出されそうです。
2020年 訪日外客数(総数) | 1月 | 伸率 | 2月 | 伸率 |
総数 | 2,661,000 | -1.1 | 1,085,100 | -58.3 |
アジア計 | ||||
韓国 | 316,800 | -59.4 | 143,900 | -79.9 |
中国 | 924,800 | 22.6 | 87,200 | -87.9 |
台湾 | 461,200 | 19.0 | 220,400 | -44.9 |
香港 | 219,400 | 42.2 | 115,600 | -35.5 |
タイ | 112,500 | 21.4 | 98,000 | -9.1 |
シンガポール | 30,200 | 33.2 | 19,600 | -24.9 |
マレーシア | 44,800 | 42.7 | 26,600 | -27.4 |
インドネシア | 37,500 | 15.5 | 24,700 | 0.3 |
フィリピン | 53,600 | 48.9 | 39,700 | 12.9 |
ベトナム | 50,400 | 42.5 | 39,900 | 1.3 |
インド | 13,900 | 11.5 | 6,600 | -27.2 |
年間3000万人もの人が来ていたわけですから、この状態が続くと、観光業に加えて、消費でも大打撃ですよね。
どこから来ている人が多いのか
2018年の数字ですが、韓国、中国、台湾、香港とアジアから日本に訪れている人が多いです。
韓国は日韓関係の悪化で、2019年は減少に転じていました。こうしたアジアを中心としたインバウンドがすっぽりとなくなってしまって、ホテル業界は非常に打撃を受けているわけですね。
ホテルの客室数はどのくらいあるのか
ところで、ホテルの客室数はどのくらいあるのか。
見てみると、約90万室あるんですね。
平成30年現在ですので、もう少し増えていますが、毎日毎日90万室の客室があり、泊まってもらうことでお金を生み出してくれるわけです。
逆に言うと、泊まってもらわないとコスト負担が大きいのがホテル業界といえそうですね。
訪日外国人がどのくらい利用しているのか?
荒い計算をしてみると、年間約3180万人が訪れています。
JNTOの統計によると、平均宿泊数は6.2泊だそうで、年間では約2億泊している計算です。
1日で計算すると、54万泊となるわけで、90万泊のうち54万泊がインバウンドと考えると強烈な数字ですね。
訪日外国人(2019)人 ※ | 31,882,049 |
平均泊数(観光・レジャー) ※ | 6.2 |
年間泊数 | 197,668,704 |
外国人の宿泊需要(÷365日) | 541,558 |
外国人はどこに泊まっているのか
外国人はどんなところに泊まっているのかを見てみると、
ビジネスホテル 42%
と断トツですね。
裏を返すと、ビジネスホテル業界がもっとも打撃を受けているとも言えます。
リゾート地にあるリゾートホテルは、もともとインバウンドは1割程度ですので、打撃はそこまで大きくないとも言えます(今は国内旅行も減っているでしょうから、そういう点では打撃大ですが)。
ビジネスホテルが主力の上場企業は?
ビジネスホテルを手掛けている上場企業をピックアップしてみました。全部拾えていませんが。
2020年4月10日終値によります。
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価 | PER | PBR | 利回り |
3010 | 価値開発 | 東2 | 105 | 54.7 | 5.58 | - |
3258 | ユニゾHD | 東1 | 5,970 | 4.2 | 1.59 | - |
3479 | TKP | 東M | 1,407 | 64.4 | 1.48 | - |
3490 | アズ企画設計 | JQ | 850 | 47.5 | 0.6 | - |
4691 | ワシントンH | 東2 | 642 | - | 0.5 | 3.27 |
5070 | ドラフト | 東M | 989 | 13.9 | 10.02 | 0.81 |
6076 | アメイズ | 福岡 | 669 | 5.35 | 0.85 | 4.48 |
6547 | グリーンズ | 東1 | 391 | 10.1 | 0.45 | 5.88 |
6565 | ABホテル | JQ | 1,033 | 13.6 | 2.47 | 0.68 |
7035 | アンファク | 東1 | 1,278 | 32.2 | 6.86 | - |
8006 | ユアサフナ | 東2 | - | 11 | 0.43 | 3.39 |
8920 | 東祥 | 東1 | 877 | 6.1 | 1.05 | 1.82 |
9003 | 相鉄HD | 東1 | 2,785 | 16.8 | 1.76 | 1.8 |
9006 | 京急 | 東1 | 1,803 | 31 | 1.77 | 0.89 |
9616 | 共立メンテ | 東1 | 2,339 | 8.9 | 1.06 | 2.01 |
9695 | 鴨川グランド | JQ | 268 | 53.3 | 20.65 | - |
9713 | ロイヤルホ | 東2 | 1,279 | 14.6 | 0.61 | - |
以前、保有していた共立メンテナンス(9616)を見てみます。PER9倍弱とたたき売られていますね(20倍台で推移していました)。
ホテル業界やばい!!とか思いつつ、冷静に数字を見て投資するかも考えていこうと思います。
共立メンテナンス(ドーミーイン)のインバウンド
共立メンテナンスが、どれだけインバウンドに頼っていたのか。
2020年3月期第3四半期の決算説明資料によると、インバウンドに比率は約30%程度で推移しています。
インバウンド比率は、約3割程度で推移しているわけですから、3割がそのままなくなっているのが今の状態と言えますね。
新型コロナウイルスの影響が、いつまで続くかは分かりませんが。
19年3月期でホテル売上は約781億円、営業利益約82億円となっています。
共立メンテナンスの売上の44%、利益の45%がホテル事業から生まれています。
共立メンテナンスの主力事業ですね。
1ヵ月当たりで計算してみると、約65億円(営業利益6.8億円)のうち、30%が吹っ飛んでいる計算です。
30%で計算すると、1か月当たり約19.5億円、約2億円の減収減益が続いてしまうということですね。
ちなみに、共立メンテナンスは、ビジネスホテル「ドーミーイン」と共立リゾートのホテル事業を展開しています。
さきほど見た訪日外国人は、ビジネスホテルに泊まっている人が約4割というデータがありました。
ドーミーインの稼働率は90%以上と高い稼働率を誇っていました。
共立リゾートは、やや稼働率が落ちて70%台で推移しています。
この稼働率はすさまじい角度で下がっていることが想定されます。
共立メンテナンスはドーミーインとリゾートどちらで稼いでいるか
ドーミーイン(ビジネスホテル)とリゾートでの売上比較を見ておきます。
19年3月期の決算説明資料に掲載されています。
ホテル事業の中でも、ビジネスホテル・ドーミーインのほうが共立メンテナンスにとって、稼ぎ頭であることが分かりますね。
利益率を計算してみると、一目瞭然です。
19年3月期 | ドーミーイン | 共立リゾート |
売上高(億円) | 467 | 315 |
営業利益(億円) | 55.4 | 16.7 |
営業利益率 | 11.9% | 5.3% |
つまり、
ホテル事業でもビジネスホテルに強みを持つ共立メンテナンスは、
大打撃を受け続けている状態
ということが分かりました。
裏を返すと、
インバウンドが復活すれば、
共立メンテナンスは、
急速に売り上げを伸ばす可能性がある
とも言えますね。
政府は新型コロナウイルスの収束を前提に、震災時の復興割のような制度を考えています。
3割のインバウンドよりも、さきに7割の国内旅行者による賑わいを見せるかもしれません。
財務面では、自己資本比率40%(20年3月期3Q)ありますが、手元資金が約150億円、短期借入が約200億円となっています。
同社の売上の3割、営業利益の4割を占める寮ビジネスはストックビジネスですし、新型コロナウイルスの影響は軽微と思われます。
ホテル業界への投資妙味
ホテルREITへは投資をしてみたのですが、株主優待もあるホテル系銘柄も保有したいという気持ちで調べてみました。
インバウンド需要蒸発は、すさまじいものがあります。
実際に数字で見てみると、そのすごさが分かりました。今の状態が12ヵ月、つまり1年も続けば、ホテル売上は約半分になってしまいます。
ホテル銘柄へ投資をするなら、ホテルプラスアルファの事業を持つ会社のほうが、リスクは低いといえるのではないでしょうか。
興味を持っている共立メンテナンスは、ドーミーインという主力事業と寮ビジネスという2本立てです。ドーミーインも、確固たる人気を誇っていましたので、インバウンド需要が戻れば、同社の評価も再び上がってくると想定されますね。
ホテル業界は、
- 装置産業(固定費が高い)
- 価格競争に陥りやすい
というデメリットもあります。
アパホテル(非上場)やドーミーインのように、「ブランド」を築いているビジネスホテルは、今後も強いのではないでしょうか。
私は、共立メンテナンスを引き続きウォッチし購入タイミングを図り、星野リゾートは定期的に買い増ししたいと考えています。
以上、ホテル業界について見てみました。
ホテルに泊まる際に割引券や無料券がもらえる優待銘柄をまとめてみましたので、お時間のある方は、あわせてお読み頂ければと幸いです。
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