約160兆円の我が国の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で2017年度末、国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えています。
GPIFは、その運用資産額が巨額なので「市場のクジラ」とも言われますが、どういう株を買っているのだろう?
2017年度末の運用状況の報告のなかで、具体的な銘柄が公開されていました。
安定した運用成績を残すGPIFの保有銘柄は、私たちが株を保有する際にもひとつ参考になるのではないでしょうか。
国内株は2351銘柄を保有
GPIFの運用資産配分(ポートフォリオ)は、平成29年度末で次のようになっています。
国内債券の割合がもっとも大きいわけですが、国内株の割合も25%を超えるまでになっていますね。
13年3月末の運用資産は62%が国内債だった。14年10月に決めた基本ポートフォリオの変更で国内外の株式比率を合計50%に増やし、18年3月末時点で国内株の保有総額は40兆円を超えた。約2300銘柄を保有し、東証1部上場企業の多くで大株主になっているとされる。
国内債券を半分以上も減らし、株式の割合がグンと上がっていますね。個人的には目先の年金支払いに問題がなければ、株式ポートフォリオがいいと思っています。
国内の上場企業は東京証券取引所によると3,629銘柄となっています。
このうち、GPIFは2,351銘柄を保有しているので、実に64%も保有しています。
買い過ぎじゃねってのが、見たときの率直な感想です。
それでは、1位から10位を見てみましょう。
みずほFG、三菱UFJフィナンシャル・グループの金融株が上位に来ていますね。
日産自動車やトヨタ自動車など日本を代表する銘柄も上位です。
証券コード | 銘柄名 | 時価総額(円) | 数量 | 数量順位 |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 445,066,317,120 | 2,280,650,800 | 1 |
8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 780,163,482,100 | 1,105,055,200 | 2 |
6501 | 日立製作所 | 332,970,905,000 | 428,095,000 | 3 |
8604 | 野村ホールディングス | 172,310,064,990 | 275,126,300 | 4 |
5020 | JXTGホールディングス | 173,619,052,680 | 265,596,400 | 5 |
7201 | 日産自動車 | 251,998,538,450 | 222,911,200 | 6 |
8308 | りそなホールディングス | 120,629,047,000 | 210,891,500 | 7 |
7203 | トヨタ自動車 | 1,378,028,275,500 | 198,707,900 | 8 |
6752 | パナソニック | 277,642,944,900 | 180,182,900 | 9 |
4503 | アステラス製薬 | 276,024,510,600 | 169,133,600 | 10 |
11位~20位は次のとおりです。
私が気になっているのは、オリックスです。
証券コード | 銘柄名 | 時価総額(円) | 数量 | 数量順位 |
6702 | 富士通 | 111,298,520,000 | 168,430,000 | 11 |
6503 | 三菱電機 | 276,507,902,650 | 160,061,500 | 12 |
7267 | 本田技研工業 | 589,201,961,000 | 159,893,100 | 13 |
8031 | 三井物産 | 294,368,740,250 | 158,047,300 | 14 |
9433 | KDDI | 420,500,822,700 | 152,273,800 | 15 |
8002 | 丸紅 | 117,321,995,740 | 149,190,100 | 16 |
8601 | 大和証券グループ本社 | 94,222,785,750 | 136,022,500 | 17 |
4005 | 住友化学 | 84,171,770,000 | 133,607,000 | 18 |
8591 | オリックス | 251,786,999,800 | 131,723,200 | 19 |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 597,612,145,400 | 131,692,300 | 20 |
21位~30位です。
証券コード | 銘柄名 | 時価総額(円) | 数量 | 数量順位 |
9501 | 東京電力ホールディングス | 53,902,577,000 | 131,469,700 | 21 |
8001 | 伊藤忠商事 | 269,413,930,200 | 128,047,600 | 22 |
9437 | NTTドコモ | 348,005,037,700 | 125,793,800 | 23 |
4689 | ヤフー | 62,576,227,480 | 124,446,800 | 24 |
3402 | 東レ | 122,306,309,400 | 120,677,600 | 25 |
9432 | 日本電信電話 | 591,934,582,500 | 118,982,700 | 26 |
3407 | 旭化成 | 167,576,526,600 | 118,596,800 | 27 |
4188 | 三菱ケミカルホールディングス | 123,881,055,300 | 118,490,600 | 28 |
8053 | 住友商事 | 212,631,521,800 | 116,638,200 | 29 |
8058 | 三菱商事 | 325,806,067,900 | 111,770,100 | 30 |
大手商社株もたくさん保有しているんですね。
GPIFの運用成績の半分くらいは、インカムゲインによるものなので配当・利子収入がいかに大事かが分かります。
累積収益額は63.4兆円ありますが、インカムゲイン(累積)は30.8兆円にも上ります。
インカムゲインは、市場変動の影響を受けにくく、かつ、常にプラスの収益を得ることができるとありますので、かなり重要視していることが分かります。
個人で投資する場合にも、インカムゲイン(配当金)は超重要視したいですね。
管理運用法人の収益のうちインカムゲイン(利子・配当収入、13 ページ参照)は、資産の時価変動に関わらず安定的に一定の収益が見込めるものですが、キャッシュとして保有せず、自動的に再投資しています。
これは、長期投資家の場合には、インカムゲインをそのまま再投資に回した方が、長い期間で見れば大きな複利効果が得られるからです。
外国株式は2,793銘柄を保有
外国株式は、全部で2,793銘柄を保有しています。
こちらもすごい銘柄数を保有していますね。
こちらは時価総額順位で見てみましょう。そのほうが分かりやすいです。
銘柄名 | 数量 | 時価総額(円) | 時価総額順位 |
APPLE INC | 41,095,884.00 | 733,290,488,800 | 1 |
MICROSOFT CORP | 61,726,500.00 | 599,152,309,942 | 2 |
AMAZON.COM INC | 3,671,358.00 | 565,112,397,780 | 3 |
FACEBOOK INC-A | 20,409,330.00 | 346,829,380,117 | 4 |
JPMORGAN CHASE & CO | 28,904,551.00 | 338,047,701,685 | 5 |
JOHNSON & JOHNSON | 22,770,320.00 | 310,331,084,801 | 6 |
ALPHABET INC-CL C | 2,743,133.00 | 301,006,389,311 | 7 |
BANK OF AMERICA CORP | 87,972,363.00 | 281,705,176,806 | 8 |
ALPHABET INC-CL A | 2,498,811.00 | 275,618,476,903 | 9 |
TENCENT HOLDINGS LTD | 47,770,155.00 | 265,143,052,515 | 10 |
Apple、Microsoft、Amazon、Facebookと最強のネット企業群も大量に保有していますね。
11位~20位です。エクソンモービルやVISA、アリババなども出てきますね。
銘柄名 | 数量 | 時価総額(円) | 時価総額順位 |
EXXON MOBIL CORP | 32,504,035.00 | 257,912,179,809 | 11 |
NESTLE SA-REG | 27,693,840.00 | 232,584,163,675 | 12 |
VISA INC-CLASS A SHARES | 18,129,222.00 | 230,632,496,594 | 13 |
ALIBABA GROUP HOLDING LTD-SP ADR | 10,995,771.00 | 214,631,741,296 | 14 |
BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B | 9,796,821.00 | 207,836,618,415 | 15 |
UNITEDHEALTH GROUP INC | 9,074,278.00 | 206,520,604,988 | 16 |
WELLS FARGO & CO | 36,285,727.00 | 202,249,531,166 | 17 |
INTEL CORP | 36,205,660.00 | 200,532,597,539 | 18 |
SAMSUNG ELECTRONICS CO LTD | 794,169.00 | 196,418,851,375 | 19 |
CISCO SYSTEMS INC | 42,576,660.00 | 194,207,130,212 | 20 |
GPIFの運用成績は年率3.12%
2001年度から2017年度までの運用成績は、年率3.12%となっています。
四半期別収益率で見るとマイナスのときもありますが、累積収益額はほぼマイナスもなく運用できていますね。
年率3%は物足りない数字に思います。
しかし、累積収益額のおよそ半分は、インカムゲインであることは注目ですね。
基本的に景気変動にあまり左右されることなく、常にプラス収益を出してくれるものですので、個人で投資する場合もこうした配当金狙いの投資はとても有用だと思います。
大きな元本割れによる退場が最も避けたいことですので、安定して配当金を出してくれる銘柄を保有することで、退場する確率をグッと下げることができるはずです。
我が家も、そのことを強く思うようになり、個別銘柄への投資は基本的にインカムゲイン(配当金)狙いの投資としています。
心地よく、毎年、収入アップにつながり、家計への寄与度も大きくなっています。
それにしても、GPIF・・・「市場のクジラ」は株を買いまくっていますね。
私も配当金を出す、出し続ける増配銘柄の株を買いまくりたいです。配当金という安定したキャッシュフローは、家計を強くしてくれます。
ではでは。
配当金狙いの株式投資は、ネット証券が手数料も安いので、コストを抑えて投資ができます。
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