出光興産は、映画「海賊と呼ばれた男」のモデルにもなった会社です。
イランとアラビア半島を隔てるホルムズ海峡付近で19年6月13日、日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃を受けたニュースが流れていました。
出光興産にとって、イランはかつて創業者の出光佐三氏が直接取引で世界で初めて石油製品を輸入した国です。映画で初めて知りました。
現在はイランと取引していませんが、中東情勢が不安定になれば原油調達で影響が出てきます。
その出光興産は、2019年4月1日に昭和シェルを吸収合併しています。
「出光昭和シェル」というトレードネームを使っています。
私は合併前の昭和シェル株を100株を記念に保有していたので、割当により出光興産株を41株保有しています(合併後株価はだだ下がりなので失敗しました)。けど、保有し続けます。
2021年度までの3年間は合併による効果を踏まえて、株主還元を手厚くすることを謳っており、高配当株になっています。
2019年度の予想配当は、2017年度比で配当金は2倍、2018年度比で60%もの引き上げとなる1株160円となっています。
エネルギー事業会社はなくなることはないので、保有方針ですが、決算内容を見ておこうと思います。
出光興産の株価が止まらない理由
出光興産の指標
まず、出光興産の指標面です。
2019/03期 実績 | 2020/03期 会社予想 | |
売上高(百万) | 4,425,144 | 6,790,000 |
(同 前期比) | 18.61% | 53.44% |
経常利益(百万) | 169,121 | 228,500 |
(同 前期比) | -25.27% | 35.11% |
純利益(百万) | 81,450 | 160,000 |
(同 前期比) | -49.82% | 96.44% |
1株当たり純利益 | 401.63 | 530.23 |
PER | 9.46倍 | 5.5倍 |
配当利回り | 5.3% | |
配当性向 | 24.9% | 29.1% |
PERは5.5倍と非常に低くなっていますね。
日本株の平均は13倍ほどですので、かなり割安な水準となっています。
配当利回りは5.3%と5%を超えていますが、配当性向は30%未満と十分な増配余力を有しています。
半年で株価は50%も下落している理由~ESG投資~
2018年10月には6000円と上場来高値をつけていた出光興産株ですが、3000円程度にまで下がっています。
実に、50%もの下落と大きな下落です。
この株価下落のひとつに、次の理由が挙げられます。
世界最大の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金(GPRG)は、2019年3月8日に石油やガス関連株の一部の石油・ガス企業134社を投資対象から外すと発表しているのですが、その投資対象の除外リストに出光興産が入っています。
ノルウェー年金は約110兆円の運用資産を誇り、政府系として世界最大。
出光興産株は2018年時点で1.12%(時価ベースで約80億円)を保有していました。
同基金のサイトには、「環境破壊に影響」「たばこを製造」「人権侵害」などを理由とした投資排除リストを明記しています。
<ノルウェー政府年金基金(GPRG)の主な投資排除・経過観察リスト>
石油・資源 |
|
電力 |
|
たばこ |
|
人権侵害 |
|
核兵器関与 |
|
同じ高配当株であるJTも入っていますね。
ノルウェー年金の投資撤退リストに英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや英BPは載っていない。両社が再生可能エネルギーなどの事業を幅広く手掛けており、石油依存からの脱却が進んでいると判断されたようだ。
ロイヤル・ダッチ・シェルは17年、二酸化炭素(CO2)排出量を50年までに半減させると宣言した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーに年間20億ドル(約2200億円)を投資。環境負荷の小さい液化天然ガス(LNG)にも投資を手厚くする。
18年12月期の純利益約2.5兆円のうち、LNGや再生エネ事業の割合は5割弱を占める。
引用:日本経済新聞
我が家は、ロイヤルダッチシェル株も保有していますが、石油事業だけでなく、再生エネルギー事業も主力になっている同社は、株価の下落はほとんどありません。
出光興産の売上セグメント別
出光興産のセグメントです。
LINE証券からです。石油製品が売り上げの大半を占めており、ESG投資にそぐわない体質なのです。
一方、出光興産は、電子材料では有機EL材料(発光材料は世界トップ)など、優れた技術も有しています。
営業利益に占める非石油事業の割合を早期に50%程度に引き上げる方針ですね。
出光興産の業績は好調
出光興産の足元の収益環境は好調そのもの。
2020年3月期の連結純利益は1600億円と、昭和シェルとの合算ベースの前期と比べて69%増える見込みです。
売上も好調に推移していますね。
原価が高いので、営業利益、営業キャッシュフローマージンの比率は、低い状況です。
キャッシュフローを石油以外に振り向けていくことが求められますね。
出光興産の株主還元
配当利回り5%を超える出光興産ですが、昭和シェルとの経営統合の効果を出し、それを株主に還元することを宣言しています。
2019~2021年度は、累計利益5000億円以上を目標に、その50%を株主に還元する方針です。
10%以上は自己株式取得に充てるため、配当性向は40%程度が予想されます。
2019年度は配当金を60%も増加させていますが、配当性向は30%足らず。
業績によりますが、20年度、21年度と増配が期待できます。
2019年11月に公表された中期経営計画では、
2022年度以降 1株配当期160円を下限
と明記されましたね。
実質的な累進配当政策と言えます。高配当が期待できますね。
出光興産は高配当株として魅力
安定した事業のビジネスモデルとは言い難いですが、ロイヤルダッチシェルのように、石油事業に頼らない収益構造に転換できれば、安定配当株になっていくかもしれません。
21年度までは、高還元を宣言していますので、株価が下がりきった3000円程度では、投資妙味があるように思います。
PER5倍程度とずいぶんと売り込まれていますので、我が家は69株追加して、保有株の単元化(100株)を実現させたいなと思っています。
石油事業がなくなることは、想像できません。
今後も生き残る企業だと考えますが、今のPER9倍、PBR0.72倍、配当利回り5%は魅力的に映ります。
将来のお金の不安を小さくしていくためには、資産運用は欠かせません。
資産運用の代表的なツールが「株式投資」。
株式投資では、ある程度の資金が必要ですが、何事も「小さく始めること」が大事です。
少額でも投資する良い方法があります。
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