配当利回り6.5%を超える日本屈指の高配当株である日本たばこ産業(JT,2914)の2019年12月期の決算が発表されました。
下方修正を事前に出していましたので、決算が悪かったのは想定の範囲内。
気になるのは、20年12月期の配当金をどうするかというところでした。
結論から見ると、
配当金は1株154円で維持
つまり、
連続増配はストップ
というような内容でした。
我が家もJT株は保有しており、我が家の配当金収入にかなり寄与していますが、改めて保有していくかを考えてみました。
連続増配は16期でついにストップ
個人的には1円増配で、連続増配は維持されるかと考えていましたが、配当金は維持され、増配はストップされました。
1株当たりの配当金は154円と高水準を維持しますが、配当性向は89.6%と危険水準にまで上がっています。
JTは過去40年一度も減配をしたことはありませんが、増配をする余力は皆無に等しく、配当金を維持するのが精いっぱいだったという感じではないでしょうか。
長期で見ると減配を一度もしてこなかったことは、すごいことですね。
JTの増配率
増配率はついに0%に落ち込み、利益成長なく配当性向を引き上げる増配モデルには、限界に達したことが分かります。
もちろん、利益が出てくれば、増配も復活するでしょう。
利益が出てくればという表現をすると利益が出ていないように読めますが、JTは減益こそすれど赤字を出すような企業ではなく、高水準の利益は出しています。
JTの業績を再確認
JTの業績を改めて確認しておきます。
まず、売上高の推移はこのところは横ばいで推移しています。
特に国内は、喫煙人口の減少なども相まって厳しい現状が続いています。
期待されるプルームテックですが、シェアはわずか9%とフィリップモリスのiQOSに大きく水を開けられており、なかなかシェア獲得ができていない苦しさが数字から伝わってきます。
iQOSの先行者利益は、かなりあったというわけですね。
利益水準
JTの業績は悪くなっているとはいえ、営業利益率20%を超える高い利益率を誇ります。
海外での販売も多いので、為替の影響を大きく受けますが、為替一定ベースの営業利益は約6000億円(19年12月期)と非常に高い数字です。
ただし、20年12月期は為替一定ベース営業利益は約5000億円と大きく減収見込み。
純利益、EPSの水準で見ても、15年12月期の約4800億円(EPS 272円)をピークに、20年12月期は約3000億円(EPS 172円)の水準まで落ちてきます。
NTTのように自己株式の取得→消却をすることができれば、EPSの上昇も可能ですが・・。
営業キャッシュフローマージン
利益水準は落ちていますが、配当金の原資となる営業キャッシュフローは高水準で推移しており、営業キャッシュフローマージンも高い水準です。
フリーキャッシュフローは約4000億円出ていますし(19年12月期)、同社がこけることはまず考えられませんね。
減益決算によるものの、キャッシュは安定して創出することができており、配当金の維持は十分に可能かと考えられます。
19年12月期で現預金3570億円(18年12月期2820億円)と大きく増加しており、利益剰余金は2.7兆円を有しています。
年間の配当金支出は約2700億円ですが、毎年5000億円前後のキャッシュを稼いでいます。
JTの株主還元方針
「1株当たり配当金の安定的/継続的な成長」を謳っており、為替一定調整後営業利益の成長率を基本に配当金を定めています。
利益成長は期待できませんので、増配もあまり期待できない状況ですが、減配するほどひどいかと言われるとそこまで悪くないという状況ではないでしょうか。
決算発表後の株価(増配ストップ後)
決算発表後の株価ですが、思ったより下げなかったですね。
日経平均株価は▲0.19%でしたので、それと比べると大きく下げていますが、印象としてはそんなに悪材料ではなかったという感じでしょうか(折り込み済み)。
PER13.4倍、PBR1.53倍、配当利回り6.69%と高配当は魅力的な水準です。
JTへの投資方針
JTへの配当金は維持されるとは思いますが、配当性向が90%まで高くなっているのは気になるところですね。
長期投資と再投資で、JTへの投資は報われると思っていますが、今後の業績は今まで以上に注視しておく必要がある状態と言えます。
我が家は、JT株を保有しています。
将来の配当増加をめざして、増配株や連続増配株への投資を中心にしています。
将来の増配力が非常に乏しいJT株は、損切りになりますが持ち株数を一定減らし、増配力の高い株価の上昇も期待できる銘柄へ振り向けていこうと考えています。
年間配当金は減ることになりますが、長期で見た場合はそのほうが配当を増やしていけると考えています。
一方、JT株の高配当利回りと配当維持力も魅力ですので、株価の上昇は期待せず、債券的な存在として一定数は保有方針です。
たばこ株は、ほかにBTIを保有していますので、バランスよいポートフォリオ、増配力の高い銘柄群を組み入れていきます。
JTの厳しい決算内容でした。
ではでは。
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